:: 04風景尾瀬ヶ原
もうそこまで来ている、白い世界。
最後の深く暗い青が、何処か悲しげでした。
暗い地下世界に、光り輝く別空間が舞い降りたような、
そんな錯覚にとらわれました。
それは絵画のように時を止めていました。
しかし、絵画には無い奥の深さと、広がりを持った世界でした。
木々の最後の息が白い霧を生み出しているようでした。
そして冬眠の冬を待つのです。
もう何百年ここに立っているのだろう。
年老いた唐松は枝も葉も少なく、しかし、確然とした威厳を持っていました。
まるで春の芽吹きのような色でした。
鮮やかな秋の色ではなく、柔らかな春の色でした。
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